写真を趣味とし更に突き詰めたいという人の中には、「自分らしい写真」「自己表現された写真」とは何かということに悩む方も少なくないと思います。しかし、このような悩みの一部は、ある種の思い込みによるものかもしれません。
1978年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された、写真の展覧会”Mirrors and Windows”(「鏡と窓」展)では、写真表現を写真を自己表現の手段として用いる「鏡派」と写真を通して外界を探究する「窓派」に分類し展示を行っています。
このような視点で見ると、近年の日本における自分らしい写真探しは、社会的な役割の増加や(日本的?)同調圧力への反作用としての「窓派」への傾倒なのかもしれません。
写真を楽しむ人々は、「窓派」だでけはなく「鏡派」という選択肢もあることも頭の隅に置いて、「自己表現としての写真」「自分らしい写真」探しという悩みに陥ることなく、まずは「写真はこうあるべき」というような教科書から離れ、単純に自分が美しい・楽しいと思うものを見つけてみるのもいいかもしれません。
あなたが美しいと感じて撮影したものが、あなたの内面を反映したものかどうかはわかりません。
でも少なくとも、それは既にあなたの視点で切り取られた世界の断面なのではないでしょうか。
そして、それはとても価値あるもので、世界のどこかにそれに共感してくれる人はいるはずです。
Comentários