Photographer unkonwn “Untitled” No date Ambrotype
今日の”LOOKING AT PHOTOGRAPHS”からの紹介は、作家不明の少し痛んだ写真です。
この写真は、いつどこで誰に作成されたのか不明です。服装からは1870-1875年頃と推測されますが、この写真の手法であるアンブロタイプは1865年には途絶えてしまっているので謎が残ります。いずれにしてもこの写真は19世紀半ばにたくさん撮られた無名の写真のうちの生き残った一枚であることは確かです。
この写真にはこれと言って特徴的なところはありませんが、ある意味では小型カメラ発明以前のスナップショットであると言えるかもしれません。
純粋な写真とは、ある瞬間の作家の視点により、四角いフレームを用いて忠実に見えるものを切り取る一連の作画システムです。限られた条件の下で妥協なく撮影された論理的かつ実用的な写真は新たなイメージを私たちに与えてくれます。しかしながら、伝統的な用語の中ではそれはカジュアル、さもなくば無秩序だと言われてしまいます。この写真もそんな写真の良い一例かもしれません。
強烈な意図による切り取り、重なり合う形による予期せぬ形、非対称かつ遠心的なパターン、密度の濃い部分と空虚な部分の併存、これらの質が「写真的なものの見方」を定義し構成するのです。
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